余情
ご主人様が夢に出てきて下さったのかどうかはわかりません。憶えていません。
でも、朝目が覚めた瞬間、心の中には確かに温かなものが残っていました。
それでしばらくそのまま、その温かなものだけを感じていました。
歳のせいで少し時間差が出るのか(笑)、筋肉痛は昨日より酷くなっていました。
階段を降りるとき、
「いたた、いたた」
と思わず声に漏らしながら、やっぱり昨日のことを思い返します。
わたしの腿(特に痛いところ)をぐっとお掴みになり、わたしの顔を覗き込まれるご主人様のドヤ顔…それもわたしだけの宝物です。
喉の筋肉が痛いのは謎。
って、嚥下には問題ないですし、風邪とかインフルエンザなどのああいう痛みではなく、外側にある筋肉が痛いのです。
うーん?
どんなに強く願っても、ご主人様と過ごさせていただいた時間のすべてをずっと忘れずにいることは叶いません。
時間とともに少しずつ頭の中に埋もれていきます。
それが自分の血肉になることはちゃんとわかっています。それでもやっぱり寂しいです。
だから、すべてを憶えている今は、ひとつひとつを大切に反芻して、そのときに感じた光の色のまま触れていたいのです。