太陽と青空の下で

ご主人様の空を自由に羽搏くわたし(従者)─ご主人様への気持ちや従者としての日常を綴ります

否定


<前の人>には持て余されて
「もう要らない」
と廃棄されたわたしが、ご主人様のような素晴らしい方に拾っていただけて、あまつさえ
「おまえがいて幸せだ」「満たされる」
と曇りのない笑顔で言って下さる現状が、何だか不思議に思える。

ネガティヴな感情ではなく、ましてやご主人様を疑うわけではない。
単純に<相性>とか、明確な言葉では表せない<フィーリング>と呼ばれる部分の違いだと思うのだけれど。


自分を解放したくて色んな人のもとを渡り歩いて…逆に、自己否定しかできなくなっていたわたし。

そんな状態のわたしと出会ったご主人様は、わたしのすべてを受け入れて下さり
「おまえのまだ知らないそらを見せてやる。
そこで自由に羽ばたいていなさい」
とわたしを解き放って下さった。


ご主人様が素晴らしい方であるほどに、自分がちっぽけに思える。
わたしより、もっと若くて素敵な女性なんていくらでもいるのに。ご主人様なら、いくらでも見つかるのに。…ご主人様の下にあってなお、そんなことを考えた。
何度も何度も。

でもそんな、どこかでご主人様との間に一線を引くことはやめた。
わたしを大切に育て、こわばっていた心をゆっくり解していって下さったから。

もう、ご主人様のものである限り、自分を決して卑下したりはしない。
それはあのとき、彷徨っていたわたしに手を差し伸べて下さったご主人様を否定することにもなるから。
「私の自慢の従者だ」
と眩しい笑顔で言って下さるご主人様を否定することになるから。

背筋を伸ばして、顔を上げて。
ご主人様の後をついて行く。



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