太陽と青空の下で

ご主人様の空を自由に羽搏くわたし(従者)─ご主人様への気持ちや従者としての日常を綴ります


綺麗事を言うつもりはない。
この世界は地獄だ。

ぼんやりしていると、うまく話に乗せられ、利用され、喰われる。
男性に限らず、女性でも、自分の欲望を満たすためだけの相手を求め彷徨う。
感情はあっても、心はない。
そんな世界。
─そう考えていた。

そう考えるに足るだけの経験をしてきた。
自分の関係の中で、様々な嫌なものを見てきたし、数多くの同じような経験をして傷ついた人たちを見た。
そして、更に数倍もの
「人を利用して、時には踏みつけにしてでも、自分の欲望を満たそう」
とする人たちを見てきた。
自分のこの性癖を呪ったことは数知れず…死にたいと考えたことも一度ならずある。

何でこんな世界に留まっているのかと言うと、それでも、自分に必要なものだから。
単に性の部分だけの話ではなく、わたしという人間を構成するものとして必要だった。
だから、何度も足を洗おうとしたけれど、叶わなかった。


ご主人様と知り合った頃、わたしはどん底にいた。
<じぶん>をすべて奪われて、輪郭だけの亡霊のようになって…「このまま、エムとしては死のう」と、今度こそ本当に足を洗うつもりでいた。


ご主人様は不思議な方だった。
あまり多くを、ご自身を、語らない方なのに、輪郭しか残っていないはずのわたしから、様々なものを引き出して下さった。

素性の知れないわたしを相手に、無防備であられたのにも驚かされた。
メールアドレスを交換した際も、フリーアドレスではなく携帯のアドレスだったし、お仕事場の情報まで下さった。
この世界には、男性のみならず女性にも変な人が多いのに..と、後でお聞きしてみたら
「話していて変な女には思えなかった」
と笑いながら仰っていたけれど。

その他のことからも、
「ご自身の感じた通り、誠実に真摯に真っ直ぐ前を向いて進まれている方」
だと感じた。
それで、
「この方について行きたい」
と思った。


この世界は地獄だと思う。
その考えは変わらない。

でも、ご主人様の御許は、暖かで安らぎに満ちている。
ともすれば一歩退いてしまうわたしに歩調を合わせ、
「ずっと一緒だ」
と言って下さる。

ご主人様は高いところから、わたしは低いところから。一緒に同じ風景を見ていたいと願う。
ずっと。ずっと。


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